【松生恒夫】腸に悪い14の習慣 -「これ」をやめれば腸が若返る-
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・免疫細胞の6割は腸に存在しており、腸内環境を整えることが免疫機能を高める。さらに、アンチエイジングやうつ病、糖尿病や肥満などの生活習慣病の予防にも腸内環境が深く関係している。
・腸の機能は20歳でピークを迎え、40歳ではピーク時の7割程度の機能しか果たさない。20代と同様の生活をしてはならない。
・1960年代の日本は大腸がんが少ない国であった。しかし2013年のがん病例数の最多は大腸がんである。また、潰瘍性大腸炎、クローン病も増加している。がんに対する影響は食事が40-60%であり、喫煙の25-35%を上回る。食事が大切である。
・腸に悪い習慣(14の習慣のうち、特記は7つ)
①糖質オフダイエット:根菜などの野菜や果物にも含まれている糖質を避けるような糖質オフダイエットを行うと、食物繊維が不足する。炭水化物は糖質以外にも食物繊維、オリゴ糖、ファイトケミカルが含まれている。ファイトケミカルは活性酸素の抑制に寄与している。
②赤身(豚、牛)肉をよく食べる:大腸がんリスク上昇要因は赤身肉、加工肉の摂取である。これは赤身肉に多く含まれている鉄分と脂肪が組み合わさることで、活性酸素が発生するためである。
一方で、魚を摂取することで大腸がん発症率を低下させる。魚の油にあるEPA・DHAは発がん性を促進する因子の反応を抑制する可能性が指摘されている。このほか、EPA,DHAが細胞膜に取り込まれると、プロスタグランジンという物質が発生しにくくなる。これは頭痛などの痛みの原因となると同時に、がん発症の引き金になる因子である。
③マクロビオティクスやベジタリアン食:玄米や温帯産の野菜をとるマクロビオティスクは不溶性食物繊維を多くとることになる。この食物繊維を多くとると便秘になる。これを摂取する際は、多くの水分かまたは水溶性食物繊維をとる必要がある。
④味噌汁や漬物はたまにしか食べない:植物性乳酸菌の不足で腸の病気になりやすい。植物性乳酸菌の摂取量が減少し、ヨーグルトやチーズのような動物性乳酸菌の摂取量が増加した1990年代以降、潰瘍性大腸炎やクーロン病などの大腸の病気が増加し始めた。
⑤野菜の摂取は主にサラダから:サラダを食べても食物繊維量やファイトケミカル摂取量が不足する。がん予防に効果がある食品はニンニク・キャベツ・大豆・生姜・人参・セロリ。
⑥食物繊維をとるために毎食玄米ご飯:玄米は不溶性の食物繊維が多く、水溶性の食物繊維は少ない。不溶性:水溶性=2:1が理想であり、玄米よりも水溶性食物繊維の多い挽割飯(白米7、大麦3)をおすすめする。
⑦運動不足や座りっぱなしの生活:運動不足は腸の動きを停滞させ、便秘を引き起こす要因となる。
・潰瘍性大腸炎の原因は分かっていないが、この病気の133例を調査した結果、危険因子はヨーグルト、チーズ、バター、菓子であった。予防因子としては、コーヒー、日本茶、ミカン、天然果汁、果物、山菜、漬物、干魚。
・腸に悪い油:お菓子やパンに含まれているリノール酸、サラダ油(オメガー6)。潰瘍性大腸炎の発症を冗長する可能性がある。また、トランス脂肪酸はLDLコレステロールを上げ、HDLコレステロールを下げる。ケーキやドーナッツ、ファーストフードや菓子パンにこのトランス脂肪酸が大量に含まれている。
・見えない油に注意:餃子などの加工品には、皮の接着材として油が使われている。カレールーやサンドイッチにも油が使用されている。
・腸によい油:オリーブオイル。LDL(悪玉)コレステロールを下げる働きがある。さらに消化管を積極的に動かし、便秘を予防する。EPA,DHA, えごま油、しそ油は良い。特にEPA,DHAはLDLコレステロールや中性脂肪値を下げるほかに、心筋こうそくや脳こうそくを予防することが指摘されている。
・腸に良い習慣
①マグネシウムリッチ:Mgには腸管の動きをよくする作用がある。さらにマグネシウムは50%が吸収されずに、大腸の水分吸収を防ぐため、便の水部鵜が多くなる。ヒジキや昆布、落花生、納豆、牡蠣、ホウレンソウ、さつまいもにMgは含まれている。
②グルタミンリッチ:グルタミンは刺身や生卵に含まれている。40℃以上に加熱すると成分が変わるので注意。グルタミンはリンパ球などの免疫細胞の発育と増殖を促して、免疫力を高める。また、大腸を動かすエネルギー源としても使用される。
③植物性乳酸菌リッチ:漬物やみそなどの発酵食品に含有される植物性乳酸菌は、胃や腸の中に入っても死滅せずに大腸に届く。腸内細菌により腸内環境が改善され、便秘症状を緩和する。
④オリゴ糖リッチ:オリゴ糖は乳酸菌のエサであり腸内環境を改善する。なお、難消化性のオリゴ糖は摂取しても血糖値をほとんど上げない。